| 書名 |
内容 |
手話の世界へ
オリバー・サックス |
唸るところが幾つもあって、特に3ケ所だけ紹介しておきます。
@音声による会話は一次元、筆談は二次元、手話は三次元と思いたいが空間で動きを伴うので四次元、それだけ高度のものである。
Aアメリカ手話は3000語の語彙を持っている。
B自国語の手話しか知らない「ろう者」同士でもコミュニケーションが成立するのに幾らも時間がかからない(つまり共通点が多い)。
私は日本で何故アメリカ手話を学ぶ人が少なくないのか不思議に思っていたのですが、この本を読みインターネットで検索してみて始めて意味が判りました。
オリバー・サックスの本は自動的に買ってしまうのですが、今回はよい勉強をさせて貰いました。
佐藤 |
中途障害者の告白 難聴者のつぶやき
三好和宏
|
聴神経に腫瘍ができて切除手術の結果難聴になったという例は始めて聞きます。随分違う聞こえ方をするものだと考え考え読みました。とにかく辛くも補聴器は使えている。何か工夫の余地がありそう。佐藤はそう思いました。健聴者に勧めたい一冊です。 |
難聴 知られざる人間風景(上・下)
津名道代
|
この2冊を読んで恥じ入りました。著者は私より二つお若いのに難聴者問題と取り組まれて40年。全難聴(社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会)の創立メンバーのお一人で、これまで広報部長兼機関誌編集長・常任理事・副会長・相談役などを歴任してこられた大物です。
対する私は一年ほど「こだま友の会」に籍をおいた後は難聴者団体とは無縁のまま時を過ごしてきたナマケモノ。心を改めて団体に入ってまだ4年です。著者とのギャップの大きさに慄然としました。
この本で驚いたことが二つ。その一つは著者は気導音はカラキシ駄目なのに骨伝導がよく聞こえることです。骨伝導を信用しない私はこんなことあるものだろうかと不思議でした。
で、自宅に帰って早速(高いお金を出して買っては見たものの全然役に立っていない)骨伝導ヘッドホンを引っ張り出して慎重にテストし直してみました。
矢張り私の耳は受け付けませんでした。頭蓋骨が家鳴り震動しヘッドホンがオーバーヒートするまでパワーを入れてみても振動を感じるだけで音としては駄目でした。
もっとも本を読み直してみると、打楽器は良いが弦楽器はふさわしくないとあります。納得できるところです。
次ぎに「触覚や視覚から生理的・直接的に音を聴けないものだろうか」とあって
これには私もハタと膝を打ちました。かねてから私が考えているとこととピタリ一致したからです。
補聴器や人工内耳が使えない、つまり聴神経が受け付けない人は口話(読唇)とか手話とか筆談によるしか対話の方法はないのですが、これは翻訳乃至は翻案というべきもので「生理的に聞く」のではありません。
ある科学情報誌に中国で指先を触れて字を読みとることができる少女の話が載っていました。してみると訓練次第では指先で音を聞くこともできるようになるかも知れません。指先と言わず全身の感覚器を総動員して音を感じることができはしないでしょうか。
このことを難聴仲間に話しても皆さん全然相手にしてくれません。笑って手を振るばかりです。ですから著者がこの本の中に特に「音奪還の工夫」と称する項目を設けて真剣にこのことを論じておられるのを限りなく嬉しく思いました。
という調子で書いているとキリがないのでこれで止めます。皆さん2冊で4000
円の出費は今どき楽ではないけれど、繰り返し繰り返し読み返すのにふさわしい書物であることは本の虫である私が責任を持ちます。お勧めして止みません。
* 40年の難聴体験を長い時間をかけて書き綴って来られたものだけに、あちこちにさりげなく散りばめられた寸言に深い意味を感じます。「物言う弱者ほど世間にとって不愉快な者はありません」など傑作です。箴言と言いたいくらいです
佐藤 |
補聴器のフィッティング
大和田健次郎 |
フィッティングとは補聴器を聞こえの度合いに合わせて調節することです。同じ補聴器でも調節の仕方一つで随分調子が違うことは皆さん御承知の通りです。普通補聴器店に任せっ放しですが原則を知っておくと自分でできます。耳の聞こえ具合は毎日変わるので補聴器の調節も自分の手でできるに越したことはありません。
大和田健次郎先生は古い昔から日本のおける補聴器の権威です。他の参考書にはない大和田先生ならでは記述があって佐藤も目を開く思いをさせられました。素人にも判りやすい心配りが効いた書き方をしておられるのが有難い。補聴器を手放せない皆さんが座右に置かれることをお勧めしたい一冊です。
|
よくわかるオージオグラム
立木孝・村井和夫共著
 |
難聴の人でオージオグラムを知らない人は一人としていないでしょう。しかし、御自分の数字は知っていても、他人様のデータをどう読むかをご存じの方は少ない筈です。
私もその一人でした。これはこの手の専門書はページ数の割りに高価なためになかなか身銭を切って買う気にはなれないものだからです。
しかし、必要に迫られて覚悟を決めて出版社まで出かけて求めてきました。このホームページを続けていくために非常に勉強になることが書かれてあります。
皆さんの座右にに是非…とお勧めするつもりはありませんが、公式の場でウンチクを傾ける必要がある場合の虎の巻として役に立つことは確かです。 |
拝啓病院の皆様
中園秀喜著
|
筆者は補聴機器の専門商社(株)ワールドパイオニアの社長さんです。補聴器が全く使えない重度の失聴があるのでかねてから病院とのつきあいには苦しんでいました。たまたま前立腺癌に捕まって外科手術を受けることになりましたが、様々な検査やら手術やら入院中のことやら聞こえないが故に次々に起こる難問をどう切り抜けたか克明に記録したのがこの一冊です。
私はこれまで入院するような重い病気にかかったことは幸いにして一度もありません。しかし、年齢的には最終コーナーを回ったことは確かなのでこの先何が起こるか覚悟は必要です。その意味でこの一冊は大変勉強になりました。 |