「老人の突然禁煙は危ないよ」と言われてビックリ
ニュース欄で紹介した諸岡氏と田原氏のお話には思わず「へェ、ホォー」と声が出る場面が幾つもありました。恐らく皆さんも意外に思われるに違いないことから要点を述べて見ます。
1 タバコによる危機
日本人は世界の先進国の2倍ものタバコを消費していながら世界一の長寿を保っています。これを何と説明したら良いのかイギリスあたりのマジメな団体では弱っているらしいのです。一般にタバコは肺癌の元凶であると信じられていますが、東海大学医学部で教鞭を執られた平山博士の学説によれば疫学的調査の結果からだけで結論を出すのは無理…とあります。
日本の医師の46%がタバコを吸い、看護婦さんにも同年齢の人と比べて30%も喫煙者が多いそうです。外科手術など緊張の連続で、終わった途端に一服でもしないととても耐えられる職業ではない、という諸岡先生の説明には説得力がありました。
獨協医科大学の片山教授はタバコは痴呆の予防になるとの説を立てておられます。ある県での調査によると65才以上になって突然タバコを止めると痴呆に進む可能性が極めて高いとのこ
とです。日本健康科学学会ではタバコは脳を活性化し、ストレスを解消し、胃の負担を軽くし、血圧を下げる効能があるので、痴呆の治療には一利があるというユニークな(…これは原文通り)発言があったそうで、タバコ党にとっては心強い援護射撃になるのではないでしょうか。
かく言う私は全然タバコは吸いません。子供のとき親父の真似をしてキセルで一服して懲りたせいでしょう。凄まじいタバコ呑みだった親父は72才まで生きました。それだけ生きられりゃ十分じゃないか、と(親父の年になった)私は常々言うのです。長兄はロングピースを一日80本吸っていました。前立腺癌から大腸に転移して75才で他界しましたが肺はピンピンしていました。この身近な実例から平生私は「タバコと肺癌は関係ないよ」と口にもし信じてもいるのですが他人はジョークと受け止めるようです。
2 酒による危機
諸岡先生は「健康医学では(糖尿などの病気を持っていなくて健康なら)酒はいくら呑んでも良い…と認められている」とケロリとおっしゃる楽しい方です。勿論無制限飲酒を奨励しておられるわけではない。アルコールへの適応性はあまりにも個人差がありすぎて一般論として適量を決めることなど到底不可能だとおっしゃっているのです。酒良しタバコ良し、美味しいと思う範囲内で十分楽しみなさい。その代わり全て自己責任においてだよ…と。何やら最近のイラク旅行への外務省通達みたいですが、私のような酒飲みにはホッとするひとときでした。
そう言いながらも諸岡先生は日本で唯一のアル中専門病院である久里浜病院の名誉院長河野先生の永年の治療経験からの教訓を紹介して下さっています。「週に連続48時間の休肝タイムを設けなさい。それが難しい人はノンアルコールのビールかワインでごまかしなさい」というのです。ノンアルコールビールは私も試したことがありますが、あれには前半は大笑いし後半はつくづく感心しました。ビールそのままの味で「よくぞここまで」と脱帽しましたよ。あれなら私にも…
3 薬による危機
酒とタバコは楽しい講義でしたが、顔を引き締めて強調されたのは「余計な薬は飲むな」ということでした。薬を出さないと病院経営が成り立たない日本の医療行政が根本から間違っているので、患者はその犠牲になっていることを自覚せよ、というわけです。
薬の種類が多くなるとDDI(Drug Drug Interaction 薬物相互作用)が起こり得ます。一人の医師から薬を貰う場合は問題ありませんが、複数の医師から互いの連絡もなく薬を出されるとピンチが訪れることがあります。例えば一方の医師が血圧を下げる薬を処方し、他方が血管を広げる薬を処方したとするとダブルショックを起こして極端な低血圧になって、場合によっては命を落とすこともあり得るのです。歯科と内科の間でも同様で、現に絶命した例があるそうです。
だから病院を幾つも梯子して薬を集めてきてガバッと飲むのを趣味にしている老人がいるなど文明国にあるまじきことです。こうしたことを許す国の制度はいくら責めても責め足りませんが、各病院がコンピューターで接続しあって同一の病人には複数の薬は出さないことにすれば簡単に防げることです。それすらできない病院と薬局の実態に諸岡先生は本当に「情けない」顔をされました。
4 飲料水による危機
健康食品や飲料水も度を過ぎると酷いことになります。アルカリイオン水というのが流行っていて一台の機械からアルカリ性と酸性の水ができます。アルカリ度が強いほど効きが良かろうと強いイオン水を飲み過ぎて胃をやられて入院する人がいます。逆に酸性度の強すぎる水で顔を洗って皮膚を冒される人も出ています。コップ半分で5千円もする水が売れているらしいのですが、何事も程々にするのが常識というものなのに日本人は何故こうも極端に走る人が絶えないのか。
新茶に極く僅かなマンガンが含まれていて心臓発作の引き金になった例がありました。産地によって烏龍茶に鉛が含まれていることが問題になったこともありました。特定の産地のお茶を連用することはなるべく避けて、適当に産地を変えて飲む工夫が必要です。
5 脳の健康対策
精神神経免疫学とかホメオパシーとかホリステイック医学などの名前をご存じでしょうか? 精神と神経は固く結びついていることを証明する医学、早く言えば「病は気から」を裏付けようとするのが精神神経医学です。一日に合計で25分間笑うと癌にかからない、というような事実を学問として定着させる試みです。
ホメオパシーとは欧米では古い歴史がありながら日本では認められなかった医術です。例えば、ここに良く効く薬があります。どんどん水で薄めて行って、薬の成分が一分子も残っていないほど薄めてもまだ効いている、とします。薬は反面毒なのですから量は少ないほど理想の姿と言えるでしょう。
それにしても何故効くのか?これはもう残っている「ある病気に効くという」信号の働きだとしか説明のしようがないのです。裏付けの文句は後でゆっくり考えることにして、とにかく効けばよい、病気を治すことが先…というのがホメオパシーです。
ホリスティックとは「全体的な」という意味です。耳なら耳だけを攻めるのではない。全身を精神的・感情的なものまで含めて総合的に見つめながら治療しようと言うのがホリスティック医学です。日本ではこれまで冷遇されるか無視されるかしてきたこれらの医学を認識する気運になってきたのは非常に喜ばしいことと言わなくてはなりません。
*佐藤注: 癌に対するホリスティック医学で有名なのが川越市の帯津三敬病院と甲府市の佐野外科です。
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